私は5年ほど前まで「爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)」に悩まされていました。爪甲剥離症とは、爪が皮膚から剥がれて浮き上がり、変色する爪の病気です。
通常であれば、指先から伸びた爪先以外は皮膚とくっついていますが、爪甲剥離症になると爪先が皮膚から剥がれ、剥がれた爪が白色や黄色に変色します。
爪甲剥離症は中高年の女性に多く発症するようですが、私のように男性であっても発症する病気です。爪が剥がれて2枚あるように見えることから「二枚爪」とも呼ばれています。
こういったことは、爪甲剥離症に悩んでいる人であれば、すでにご存知かもしれませんね。ここからは、私が爪甲剥離症を完治させた体験をお話しようと思います。
突然発症した
私が爪甲剥離症を発症したのは38歳の夏。右手の親指のみでしたが、治っては剥がれを繰り返していました。
最初に爪が剥がれたときは、「爪が弱くなったのかな」程度に思っていたんですよね。
しかし、爪先の白い部分の面積が徐々に広がって、次第に根元に向かって広がっていったため、「これは病気かも?」とネットで調べてみたところ、爪甲剥離症だとわかりました。
爪甲剥離症になる原因の大半は、後天性のものだそうです。遺伝性や先天性によるものも、ごくまれにあるようですが、私の場合は外因性のものでした。
最初に爪甲剥離症と診断された病院の医師が言うには、「爪の間にトゲが刺さったことによる怪我が原因でしょう」とのことでした。
爪甲剥離症になった右手の親指だけ皮膚が硬くなり、結果的に爪が剥がれている期間の方が長かったですね。
完全に爪が剥がれることはなかったのですが、見た目が悪く指を使いづらかったため、病院で治療することに。
5ヶ所の病院に行ったがどこも違った見解
5か所の皮膚科を受診して、爪甲剥離症と診断された病院は一つもありませんでした。検査は陰性にもかかわらず、水虫用の軟膏や内服液を処方されるだけでしたね。
私から「爪甲剥離症ではないですか?」と聞くことも多かったのですが、「様子を見ましょう」と言われるだけ。
ある皮膚科では、「爪甲剥離症の治療法はありません」と言われ、愕然とした記憶があります。事態を深刻にとらえた私は、「爪甲剥離症」関連のキーワードで調べまくりました。
完治した今思えば、そこまで深刻になる必要はなかったのですが、とにかく焦ってしまい調べずにはいられませんでしたね。
調べてみると、確立された治療法はないと解説しているサイトがある一方で、絆創膏やテープなどを巻いて完治した人もいました。
水の使いすぎや洗剤、シャンプーなどの刺激も原因になることがわかりました。医師にも治療法はないと言われましたが、完治した人がいる以上、希望を捨てずに治療しようと決意。
爪甲剥離症だと確信していた私は、受診した5か所の病院の対応に疑問を感じずにはいられませんでした。
受診すること7か所目の病院で、ようやく水虫と判断しない医師に出会えたので、希望が湧きましたね。
記憶が定かではありませんが、この病院では塗り薬を処方され、結果的には治ったように見えました。しかし、2年後に再発。
ふたたびこの病院を受診すると、「これは難しいんですよね」の一言で、フルメタローションを処方されて終わりです。
あまりにも医師のやる気が感じられなかったので、別の皮膚科を受診することに。
その病院ではヒルドイドソフトとアンテベートローションが処方され、それらを毎日こまめに塗っていたら4か月ほどで治ったように思いました。
しかし、またもや再発です。やっとくっついたと思ったら、剥がれるときはあっという間。
再発を繰り返していたので別の皮膚科に行ってみると、「これはビタミンA不足が原因でなる病気なんです」と言われ、水仕事や洗剤、シャンプーなどは無関係とのこと。
個人的には納得できませんでしたが、ビタミンAの錠剤を処方され、2週間ほど飲み続けたところ確かに治りました。
ネットで調べてみると、確かにビタミンやタンパク質など、爪の成長を促す栄養素を摂取するのが良いとされています。
しかし、またもや再発。このときは、前の病院で処方されたステロイド剤の残りを塗ってしのぎましたが、良くなってきたと思ったら再発の繰り返し。
病院での治療をいったん止めセルフケアをしてみた
これでは、いつまで経っても治りません。皮膚科での治療は一旦やめて、セルフケアをしながら自分で治療することにしました。
刺激を与えないように心がけた
右手の親指を使わないようにするのは難しいので、できる限り刺激を与えないように心がけました。
洗い物やシャンプーの際には、必ず薄手の使い捨て手袋を着用。洗剤は手にやさしいヤシノミを使っていました。爪甲剥離症は乾燥が原因になることもあるようなので、ワセリンを塗って絆創膏を巻いておきました。
ただ、絆創膏にはガーゼ部分があるため、手を洗うと水を吸ってしまい、爪が一日中湿っている状態になります。乾燥が原因になるとはいえ、好ましい状態ではなさそうです。
そこで、ガーゼ固定用のテープを試してみることに。ドラッグストアで「ホワイトテープ」を買ってきて貼ってみると、絆創膏と違ってすぐに乾くので良さそうです。
しかし、埃がついて見た目が汚くなるのが難点。1日に何度も張り直さなければなりませんでした。
ホワイトテープを貼ってしばらく様子を見たのですが、一向に良くなりません。そこで思いついたのが、ワセリンを塗った指にラップを巻いて、ホワイトテープで止める方法です。
指先にラップを巻いておくなんて見た目が悪いうえに不自由ですが、寝る前に巻いておくと朝にはしっとりしていました。
こまめに爪をケアし続けた
このセルフケア以外にも、こまめに爪を切り、爪先が指先よりも出ない長さを保つように心がけました。
爪が伸びすぎていると物に爪を引っかけてしまい、剥がれた爪先から爪甲剥離症が進行してしまう可能性があるからです。
これらのセルフケアを行い、指先を乾燥させないようにしながら2か月ほど爪の成長を観察しました。しかし、爪甲剥離症が治ることはありませんでした。
大学病院を受診してみたら一発で診断された
皮膚科もダメ、セルフケアもダメとなり、どうしたらいいのか分からなくなりましたが、大学病院に行ってみようと思い立ち、受診してみることに。
さすが大学病院ですね。水虫と診断されたり、効きもしない薬を処方されたりすることはなく、一発で爪甲剥離症と診断されました。
抗生物質が処方され、毎日飲みながら市販の尿素入りハンドクリームをこまめに塗るようにとのことでした。
ちなみに、私が使っていたハンドクリームは、「メンソレータム 薬用ハンドベール 手荒れキメ整うクリーム」です。
塗った指先にガーゼを当て、包帯を巻いて絶対に水に触れないようにする生活を続けること約1年。ある日、爪がポロリときれいに剥がれて、新しい爪が生えてくるという結果に。
そこから半年ほどで爪が生え変わって、すっかりきれいになりました。これで完治したでしょうと判断し、治療をやめました。
あんなに再発していたのに数年経っても再発はしていない
完治した爪甲剥離症は、48歳になった今でも再発していません。
爪甲剥離症は、とにかく長期に治療が及ぶものです。私は大学病院に行ってから1年半ほどで完治しましたが、中には10年以上爪甲剥離症に悩んでいる人もいるようです。
抗生物質を服用するので治療費はかかりますが、しっかり飲んで、しっかり爪を保護&ケアしていれば、私のように治ることもあります。
大学病院に行ったからといって必ず治るとは限りませんが、まずは信頼できる病院を根気よく探すことから始めてみてはいかがでしょうか。