もともとサラリーマンではなく自営業だった私は、革靴を履くことなど少なく、普段はスニーカーなどの布生地の靴を履いていました。サラリーマンの友人の中には革靴が原因で足が蒸れてしまい、水虫になってしまった人はいましたが、私にはそんな心配はなかったと思っていたのです。
しかし、ある日お風呂に入ると、何となく足に軽い痛みのような、痒みのような感じを覚えるではありませんか。
始めは気にならなかった痒み しばらくしてその正体に気づく
そこは足の小指の第二関節近辺で、触ると痛みではなく痒みであることが解ります。また小さなふくらみのようなブツブツ感もあります。「ありゃ、虫に刺されたかな?」その日は、仕事で山に行っていたので、きっと虫に刺されたと思ったのです。風呂から上がって妻に虫刺され用の薬を出してもらい、苦しを塗るとスーッとした感じで痒みが感じなくなり、その日はそれ以上気にすることはなかったのです。
毎日の生活は忙しく、足の小指のことなんて忘れていました。それからは痒みを感じても、小指を靴に擦り付けば収まるし、大きな問題になるなんて考えてもいなかったのでです。しかし、そんな状態も長くは続かず、初めて痒みを感じてから1か月後についに痒みの正体を知ることになるのです。
薬指と小指の間の皮がめくれ水虫を疑う
その週は仕事が3日ほど忙しく、自宅に帰ることもできませんでした。現場作業なので寝泊まりは事務所で、お風呂に入ることもできません。食事と仮眠だけで生活しなくてはいけなく、当たり前ですが着替えなんてすることもありませんでした。
やっと自宅に帰りお風呂に入ろうと靴下を脱いだ瞬間、足から強い痛みと痒みを感じるではありませんか。見てみると小指にはブツブツと水ぶくれ、薬指と小指の間皮がめくれて赤く皮膚が露出している状態になっていたのです。この時点でやっと気が付きました「これは水虫じゃないのか」と。
さっそく妻に見てもらうと、妻も初めて見たようで「気持ち悪い」を連発です。さらに「これでお風呂に入るのぉ」と厳しいことを言うじゃありませんか。とりあえず湯船に入る前にしっかりと洗うことにして、手に石鹸を付けて洗います。痛いのか?気持ちいいのか?どっちなんだい?と思ってしまう状況でしたが、熱いお湯をかけるとやっぱり沁みる感覚があります。
湯船に足を入れないようにして入浴しましたが、自宅には水虫の薬など常備していません。実は我が家では私が水虫第一号であり、家族も興味深々のようです。その日は消毒液しかなかったので、オキシドールを付けることにして、脱脂綿でそおっとめくれた皮に塗ってみます。「いたー」これは沁みました。
人気の市販薬を購入 多少高価だが効果に期待
水虫が発覚してからは痒みが強くなった気がします。今までは足の状態なんて気にしなかったので、痒みをとくに意識していませんでした。しかし、患部の状態を見てしまった以上は、気になって仕方がないのです。少しの痒みでもつい足を触ってしまう自分がいました。
翌日は休日だったために、10時にはドラッグストアに行くことにしました。水虫薬コーナーにはたくさんの薬が置かれており、どれにしようかも迷ってしまいます。見てみると液体や軟膏、スプレー式のものもありました。初めて買う水虫薬なので店員さんに聞くのが一番と考えて、白衣姿の女性に聞いてみることにしたのです。
白衣の女性は「水虫はどのような状態ですか」「はっ?(私)」「ジュクジュクしていますか?それともカサカサ白くなっていますか?「えーとジュクジュクです(私)」「それならこれが人気の薬です」「あっそうですか(私)」
選んでもらったのは「ブテナロック クリーム」です。私のようなジュクジュクして皮がむけている水虫では、液体の水虫薬は効き目が悪く、クリームや軟膏が良いとの話でした。2000円以上もする高価な薬でしたが、言われるままに購入したのです。
使用法は1日1回患部に塗るだけだったので、仕事が忙しくても問題なく、お風呂上りに塗ることに決めました。しかし家族は私の水虫を過剰に反応して、バスタオルやマットをバイオハザードのように扱っていたのが傷つきしまたね。まあ、薬を塗ればすぐに治るでしょう。
薬の効果はすぐに現れた しかし・・・
薬を使用すると効果は直ぐに現れました。1週間もすると皮膚の赤身はなくなり、めくれていた皮も治ってきました。しかし小さなブツブツはまだ残っており、触ると軽い痒みを感じます。2週間も過ぎるとその感覚もなくなり、そして1か月で薬を使用するのを止めることに。そう治ったと判断したのです。
しかし、症状が治まっていたのは少しの間で、薬を止めて1か月後にはまた痒みを感じるようになります。見てみると小指の全体が赤く腫れているように見えました。「やっぱり薬は半年は続けないと駄目だったかぁ」と思い、再度ドラッグストアでブテナロックを購入します。
しかし、今回はなかなか痒みが治まりません。また小指の爪が厚くなっているようにも見えます。風呂上りに指で小指の爪を触ってみると、ぼろぼろと崩れるように取れるではありませんか?薬の副作用だと考えた私は、ついに病院へ行くことを決断したのです。
病院で思わぬ診断結果が 実は爪水虫だった
水虫薬の副作用だと思った私は皮膚科の医師にそのように説明しましたが、医師からは意外な診断が下されました。「それは爪白癬ですよ」つまり、水虫の原因である白癬菌が小指の爪に侵入して爪をボロボロにしてしまっていたそうです。つまり市販の薬が効いていたのではなく、水虫菌が爪に入り込んでいた訳ですね。
医師の話では水虫は良くなったと思っても、最低でも半年~1年は薬を使用しないと再発のリスクは高く、酷い状態では飲み薬が必要だとの話でした。私のケースでも爪に水虫菌が入り込んでいたので、市販薬で治療することは難しいと診断されたのです。そこで処方されたのが抗菌剤の「ラミシール」です。
ラミシールは日本で一番使用されている水虫用の飲み薬で、1日1錠を飲むことになります。期間は半年程度で爪の状態を見て、最終的には判断するそうです。水虫と言えば軟膏などの外用薬だと思っていたのですが、普通の白い錠剤で水虫が治るなんてちょっと驚きしました。
それからは毎日薬を飲むことを忘れないで、改善したからと薬をおろそかにしないように注意しました。そうすると3か月もすると爪も薄くなり、ボロボロ感も少なくなってきました。毎月通っている病院の医師も「あと2か月くらいで大丈夫でしょう」とお墨付をくれました。そうして病院で診断を受けてから、5か月で私の水虫は完治したのです。
市販薬も1つの方法 でも病院の方が確か
私の経験では軽い水虫であれば市販薬でも十分に完治させることは可能だと思っています。しかし市販薬を購入する際には、自分の症状をよく理解しなくてはいけません。薬と言っても種類もさまざまなで、軟膏、クリーム、液体さらにパウダーまであります。値段も700円程度から3000円以上するものもあるのです。素人ではこれらを比較するのも一苦労ではありませんか?
そうなるとインターネットでの下調べは必須項目で、なるべく沢山の情報をもってドラッグストアに行かれるのをお勧めします。とくにドラッグストアの薬剤師さんも水虫だけに詳しい訳ではないので、症状に合わない薬を選んでしまう危険性もあるからです。市販薬を使用した治療は、薬の選び方で効果が決まると思います。
症状の重い水虫は市販薬で完治させるのは難しいかもしれません。とくに私のように爪に水虫菌(白癬菌)が入り込んだ場合では、抗菌剤の錠剤を服用しなくては治らないそうです。足指がかゆくて爪が厚くボロボロになっている場合は、爪白癬に進行していますので、皮膚科を受診して抗菌剤を処方してもらいましょう。
病院での治療には半年程度はかかりますが、私は1年経っても再発はありません。きっと足の清潔を守ることで、再発はないと思っています。病院は治療期間は長いのですが、効果は間違いありません。市販薬を使用しても再発した場合などでは、すぐに病院で治療してもらったほうが良いでしょう。