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「爪周囲炎」爪の周囲が感染し腫れあがる症状

爪周囲炎(そうしゅういえん)とは、爪の周辺が赤く腫れてしまう症状のことです。

症状がひどくなると、炎症を起こしている部分に膿が溜まってしまうことあります。

爪周囲炎(そうしゅういえん)を甘く見ない方が良い

爪周囲炎爪周囲炎(そうしゅういえん)は、その名のとおり、爪の周りの感染症です。主に、ブドウ球菌が原因菌となることが多く、爪の根元や指先が赤く腫れたり、炎症を起こします。

炎症している箇所をそのままにしておくと、膿がたまり色が黄色く変色してきます。力を加えると膿が出てくることもありますし、放置しておくことで膿が出てくることもあります。膿が出ると回復に向かうことがあります。

ただし、膿が残っている状態ではそれが原因となり化膿してしまうこともあります。ひどくなると、肉芽組織が爪の上まで出てくることがあります。この状態からの治療はなかなか難しいものになるので、早期治療が必要となります。

爪周囲炎の原因はさまざま

この症状になる原因は色々ですが、よくあるケースとしては、爪周辺のささくれを取り除き、その傷跡から細菌などが入り込み、腫れてしまいます。また、「手湿疹」によっても症状が引き起こされることも良くあります。

子供の手荒れを「砂かぶれ」、大人では「主婦湿疹」と呼んだりします。こういった砂、泥、水、洗剤などの刺激物が原因となる非感染性である炎症もありますが、たまに感染性が原因の炎症もあります。

カンジダ菌というカビが、爪のまわりに生えることで炎症が発生し、ささくれ立ってしまったり、黄色ぶどう球菌などの細菌が入り込み、激しい炎症を起こしてしまったり、手湿疹にカビや細菌が絡みあった複合ケースなどさまざまです。爪周囲炎になると併せて「ささくれ」になることもあります。

爪周囲炎の種類

急性爪周囲炎

急性爪周囲炎はさかむけや深爪、陥入爪巻き爪の一種)等が原因で爪郭(爪の両側にある、少し盛り上がった皮膚の部分)や爪上皮(爪の付け根の甘皮)の傷口に黄色ブドウ球菌やレンサ菌、大腸菌や緑膿菌が侵入することで起こります。これらの菌は決して珍しいものではなく正常な手の皮膚にも存在します。爪の縁に沿って発赤・発熱・腫脹・疼痛などの症状が出現します。

通常、膿は爪の縁に沿ってたまりますが、悪化すると爪下まで膿が溜まる場合もあります。

感染が指腹まで進むと、ひょう疽(化膿性爪周囲炎)となる可能性があり、さらに進行してしまうとリンパ管炎となってしまう場合があります。通常、手荒れやさかむけが原因となることが多いため、爪周囲炎もひょう疽も手指にできる事が多くなります。足趾の場合、巻爪や爪切りの際の傷が原因となります。

慢性爪周囲炎

急性爪周囲炎の他に、慢性爪周囲炎と呼ばれるものもあります。慢性爪周囲炎は時折カンジダ(カビ)を検出させることもあり、真菌も原因として関係があると考えられています。しかし、慢性爪周囲炎におけるカンジダの役割は特定されておらず、治療により真菌を除去しても病状が解消されるとは限らないとのことです。

慢性爪周囲炎の症状としても急性爪周囲炎同様、爪郭の疼痛や発赤が起こりますが、膿が出ることはありません。慢性爪周囲炎は爪上皮をなくしてしまい、爪と皮膚が分離してしまう可能性があり、分離してしまった部分の隙間から刺激物や微生物が侵入しやすくなってしまいます。また爪は、厚く硬く変形してしまいます。

原因

急性爪周囲炎は傷口からの細菌感染により引き起こされますが、主な細菌感染の原因としてはささくれや陥入爪の他、指をしゃぶる・噛む行為、慢性的は水や洗剤による刺激による皮膚のバリア機能の低下等が挙げられます。

慢性爪周囲炎は水仕事や化学薬品、アレルギー物質にさられる状態が続く人、とくに手に湿疹のある人や糖尿病を患っている人はかかりやすいとされ、とくに湿気はカンジダや細菌等を増殖させてしまうため、長時間手指を湿気にさらしがちな人は慢性爪周囲炎に注意が必要です。

また菌やカビといった原因の他に、新しい薬物療法が皮膚の変化を起こすとともに爪周囲炎の原因といわれています。しかし薬と皮膚の変化の因果関係は分かっているものの原因は完全には解明されていません。

対処法

対処法としては、爪やその周囲を清潔にしておくことが大切です。爪を噛む癖のある方は、止めるよう心がけましょう。

細菌が発症原因の場合は、抗生物質を使用するのが一般的です。また、カビが原因の場合は抗真菌剤を使用し、手湿疹が原因の場合は、副腎皮質ホルモン軟膏やステロイド軟膏で炎症を抑制するのが一般的のようです。

しかし現実的には、原因や症状を特定するのが難しいです。症状によって使用する薬が異なってくるので、専門医の受診を受けた後に薬を使用することをオススメします。

対処法 外部サイト

日本整形外科学会のホームページによると、急性爪周囲炎の治療は、初期には化膿止め(抗生物質)の服用と、冷湿布で治療を行うとされています。また、膿がたまっていれば切開して膿の除去、爪が食い込んでいれば食い込んでいる爪の部分切除を行うとされています。膿が爪の下までたまってしまっている場合には、爪を切除して膿を除去する必要があるとされています。

参照⇒日本整形外科学会

 

さらにMSDマニュアルプロフェッショナル版、急性爪周囲炎の項目によると、糖尿病患者や末梢血管疾患患者が足趾の爪周囲炎になってしまうと、重篤化して下肢切断に至る場合があるとされています。

そのためそういった患者の下肢爪周囲炎の治療時には蜂窩織炎やその他重症の感染症の兆候が出ていないか注意深く観察する必要があると記載されています。

参照⇒MSDマニュアルプロフェッショナル版

 

またジオトリフのガイドブックには陥入爪が爪周囲炎の原因で肉芽ができてしまった場合の処置方法も記載されています。

陥入爪により肉芽ができてしまった場合には液体窒素を用いた凍結療法が行われます。液体窒素を染み込ませた綿棒を肉芽組織に押し当て凍らせて自然に落ちるように促します。これを1~2週間の間隔で2~4回実施します。

参照⇒ジオトリフ適正使用ガイドブック

 

慢性爪周囲炎の治療は、急性爪周囲炎の治療とは異なります。同SDマニュアルの慢性爪周囲炎の項目によると、慢性爪周囲炎の初期の治療は手の乾燥を保つことと外用薬の使用とあります。先に挙げたように、手の乾燥には手袋を使用して水にぬれることを防ぎます。

外用薬を使用する目的としては、爪上皮の再生、爪と皮膚が分離してしまっている部分の閉鎖があります。抗真菌薬の使用は、真菌が問題となる場合のみにより投与されるとのことです。

予防法

ささくれをちぎってしまい、そこから細菌が入り込んでしまったり、爪を噛むことが原因になることがあるため、ネイルケアやアート等の刺激を避け、専門医の受診を受けましょう。

また、陥入爪巻き爪が原因となることもあります。爪周囲炎、陥入爪やそして巻き爪は、症状が悪化すると歩行が困難になる可能性もありますので、そうなる前に早めの専門医の受診をおススメします。

予防策 外部サイト

医療情報メディア「medicommi」の医師によると、急性爪周囲炎の予防としてはまず爪のケアを行うことが効果的だとされています。さらには爪や周囲に傷がつかないよう、噛んだり、しゃぶる、ひっかくといった行為をしないこと、きれいな爪切りややすりを使うようにとされています。

慢性爪周囲炎は水やアレルギー物質、化学薬品が原因となっている為、手の乾燥を保つことや手袋を利用するなどして化学物質や洗剤等の刺激から手を守ることが重要になります。

足の場合は清潔を保つといった意味で、少なくとも靴下は毎日取り換えて、洗濯後は完全に乾燥させます。ジオトリフという薬剤のガイドブックのホームページに具体的予防法が紹介されています。1つは手指や足趾の洗浄をしっかり行うことが挙げられます。

とくに足趾は手指と比べて洗浄する機会が少ない為、入浴時にしっかりと丹念に洗う必要があります。注意点としては、爪と皮膚の間をしっかりと開いて洗浄することです。2つ目としては指の保護を行うことです。

同ホームページによると、洗浄後の保湿剤の塗布は10分以内に行うのが望ましいとされています。また、保護剤としてはトップコートを使用することにより二枚爪等による引っかかりから指を守ることができます。3つ目に紹介されているのが、陥入爪の予防です。

陥入爪予防として守らなければいけないことは、爪の切り方にあります。とくに足の爪の場合、深爪をしてしまうと爪の下の柔らかい部分が地面との圧力で盛り上がってきます。この盛り上がってきた肉の圧力で、今度は爪がまき始めてきてしまいます。

また、爪の両端を深く切り込む切り方(バイアス切り)も陥入爪の原因となってしまいます。バイアス切りは深く切り込んだ両端部分の皮膚がむき出しとなることで肉が盛り上がってきます。この盛り上がった部分に爪が伸びてきて陥入爪となってしまいます。

これらの切り方をせず、爪の両端が四角くなるように切ることで肉の盛り上がりを防いで陥入爪の予防につながります。そのほかの陥入爪の予防としてはテーピングを用いて、側爪郭を開くことで食い込みを防ぐ方法や、脱脂綿を爪の下に入れて食い込みを防ぐ方法があります。

参照⇒爪周囲炎(Medicommi)

 

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