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匙状爪(さじじょうづめ)は爪がスプーンのように反り返ってしまう症状

主に手の爪が薄くなり、反り返った状態を匙状爪(スプーンネイル)と言いますが、この匙状爪は鉄欠乏性貧血の患者の多くにみられる症状で、爪の中央がへこみ、先が反り返ってスプーン状のようになるからそう呼びます。

とくに女性の方はその爪の形状で人の目を気にすることも多いようですから、匙状爪の原因を確かめて、爪を正常な形になるように改善していく必要もあります。また女性は貧血が原因で匙状爪になるケースが多くみられますから、日頃からの食生活の見直しや場合によっては、鉄剤の投与が必要になってくることもあります。

匙状爪の症状

匙状爪の原因は色々ありますが、その症状はほとんど同じで、爪が薄くなりスプーン状になるのが特徴です。貧血によって薄くなった爪は、外から加わった圧力に耐え切れず、反り返ってしまいます。

また爪が弱くなっていることから、爪の先端が薄く剥がれる「二枚爪」の症状も現れることもあり、爪の色が青白くなるといった特徴もあるようです。子供にみられる生理的な匙状爪は、手よりも足の爪に見られることが多く、外因性のものなどでは、通常は手の爪に生じないようです。

職業性が原因の匙状爪の場合は利き手の親指~中指によくみられるのが特徴です。また、スプーンネイルのほかに、口角びらん、赤い平らな舌や嚥下障害を伴ったりしますが、これをプランマー・ビンソン症候群と呼ぶそうです。

匙状爪の原因

スプーンネイルの原因は一般的には、指の先端の指腹に爪が支えられる以上の力が毎日加わることで起こるとされていますが、大きくは「生理的要因」「外的要因」「全身疾患による要因」「爪の切り方による要因」の4つい大別されるようです。それらを以下にみていきましょう。

生理的要因

子供の爪は薄いため、スプーンネイルや巻き爪になることがあります。とくに生後1歳~2歳までの乳幼児の手足の爪に見られますが、まれに思春期まで続くこともあるようです。また、幼児の中には裸足で遊ぶことが多く、足の親指の爪がスプーンネイルになることがありますが、その場合は裸足で遊ぶことをやめることで、自然に正常な爪に戻ることもあります。通常は成長と共に爪は厚くなり症状も無くなることもありますが、注意して見守ることが必要でしょう。

外的要因

匙状爪は、美容師、理容師などにみられることも多いのですが、指先に伝わる力は一見軽微に見えますが、骨のない部分では直接爪に力がかかるため、一定した力が指先へ続くと爪は扁平し、さらにスプーン状になるようです。また、薄くなった爪に機械的圧力が加わることでも匙状爪が生じたりします。

全身疾患による要因

匙状爪は血液疾患、代謝疾患、神経性食欲不振症などでみられますが、とくに貧血(鉄欠性貧血)に伴って生じることが良く知られています。鉄欠乏性貧血の場合には爪が正常の人よりも匙状爪になりやすいといった傾向があります。爪は健康のバロメーターとも言われていますが、それほど健康の度合いが爪に現れやすいということです。中でも鉄欠乏性貧血はとくに爪を変化させてしまうことが多い病気です。

爪はもともと肌が変化したもので、ケラチンというタンパク質からできています。そして肌と同様に酸素が必要で、その酸素を運ぶのが血液中のヘモグロビンです。貧血になってしまうと、血中のヘモグロビンの濃度が低くなりますから、爪に酸素や他の栄養素が満足に行き届かなくなってしまいます。

血液中の酸素が不足すると爪は軟らかくなってきますので、さらに指先への圧迫などで匙状爪になりやすくなるといった状態になります。また血液中の酸素不足で軟らかくなった爪は外部から圧力をかけても割れずに、曲がってしまうのが特徴で、さらにヘモグロビン濃度が低いことで爪の赤みがなくなり、正常な爪よりも青白くなってくるのが特徴です。そして貧血による匙状爪は手だけではなく、足にも影響してきます。匙状爪まではなっていなくても、爪が白くなってきたら注意する必要があります。

爪の切り方によるもの

爪が指腹に加わる力を支えるには、爪の両側が皮膚とつながっていることが必要ですが、爪を切る時に爪甲の両側を丸く切る人は、だんだんと爪の両側縁を切り込んで短くしてしまいます。しかし爪の両側縁が短くなると、爪は指腹に加わる力を支え切れず、結果的に匙状爪になることがあります。

匙状爪の治療

匙状爪は職業などによる外因性のものが最も多く、その原因を取り除いたり、軽減することでかなり改善してきます。また、鉄欠乏性貧血の場合には爪が正常の人よりも匙状爪になりやすいといった傾向がありますから、鉄欠乏性貧血の治療が必要になってきます。
鉄欠乏性貧血の治療方法は、鉄欠乏の原因なることへの改善と鉄分の補給を行います。

貧血がひどい場合や食事療法で改善か困難な場合には、鉄剤を経口や静脈注射で投与することになります。また、貧血かどうかはっきり分からない患者さんでも、鉄剤の投与によって症状が改善されたというケースもあります。
( https://health.goo.ne.jp/medical/10OL0700の治療方法に記載あり)

匙状爪の予防方法

匙状爪の予防は爪の両側縁を短く切らないようにすることや、外因性の場合として、重い荷物を運ぶといった手先を使う仕事や、草取りのような仕事は指先に力が入りますから、そういった場合には道具を使うといった工夫も必要になってくるでしょう。鉄欠乏性貧血を予防するためには、鉄分が不足しないような食事を毎日とることが重要になってきます。予防のポイントとしては「規則正しい生活と食事」です。食事に関しての注意事項を下に記します。

  1. 朝食を抜かずに毎日3食を摂取します。
  2. 鉄分を多く含む食品、(レバー、あさり、緑黄色野菜、海藻、赤身の肉類)を摂取します。
  3. タンパク質を多く含む食品(肉、魚、卵、大豆、乳製品)を使った料理をバランスよく食べるようします。
  4. ジャンクフードやインスタント食品はなるべく控えます。
  5. 食事中の緑茶、紅茶、コーヒーなどは控えます。

その他の匙状爪への予防に関しても見ていきます。

亜鉛を摂取する

亜鉛も新陳代謝には重要な栄養素ですから、爪の成長には欠かせません。また摂取したタンパク質を爪に変えるのが亜鉛です。せっかくタンパク質を摂っても亜鉛不足だと爪の成長を早めることはできませんから、亜鉛も積極的に摂取するようにしましょう。

爪のマッサージをする

爪の根元には、爪を作る爪母(そうぼ)と呼ばれる部位がありますが、その爪母を10秒間押してあげると爪へのマッサージになりますし、爪の成長に効果的だといわれます。
それぞれの指を1日3回程度押してあげましょう。

禁煙する

タバコを吸うことで毛細血管が収縮してしまい、血行が悪くなってしまいます。新陳代謝も悪くなってしまいますから、なるべく禁煙しましょう。

生活リズムを整える

新陳代謝をよくするにはゴールデンタイムとよばれている、夜の10時から午前2時までの時間帯に寝ていることが大事です。規則正しい睡眠をとるためには、毎日決まった時間に寝るようにしましょう。

適度な運動

適度な運動は新陳代謝のためには有効ですから、爪に成長のためにも10分ほどジョギングするだけでも、新陳代謝をあげることができます。

ストレスを溜めない

ストレスはタバコと同じように、毛細血管を収縮させてしまいますから、爪の健康にもよくありません。休日はなるべく、カラオケや趣味などでストレスを発散できるような工夫をしましょう。

参考になるサイト

https://health.goo.ne.jp/medical/10OL0700
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